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アルミニウム雑考
2009年 05月 19日 (火) 00:58 | 編集
自転車のフレームに用いられる代表的な材料として、

1.チタン合金
2.カーボン繊維強化プラスチック
3.クロムモリブデン鋼
4.アルミニウム合金

などが挙げられる。(その他マグネシウム合金やスカンジウム合金、竹など)
一般に1→2→3→4の順番に価格が下がる。
普及している割合はわからないけど、値段が高く重量の軽いカーボンか、値段が安く重量の軽いアルミが大多数を占めていると考えていいはず。
私の愛車である「TNI7005MK-Ⅱ」もアルミフレームだ。

フレーム以外のコンポーネントやシートポスト、ステム、ハンドルなどは、廉価モデルの場合は基本的にアルミ一択だと思う。
理由は軽くて強いものが安価に作れるからではないだろうか。

多くのアルミパーツで構成された自転車に乗る以上、アルミについて理解を深めておく必要がある。
ここ最近でアルミについて調べたことについて簡単にまとめてみる。
ちなみに参考書は「現場で生かす金属材料シリーズ アルミニウム (社団法人 日本アルミニウム協会 編)」を使用した。


・フレーム材質について
6061合金、7005合金が主流であり、前者は6000系合金(Al-Mg-Si系)、後者は7000系合金(Al-Zn-Mg系)だ。
「TNI7005MK-?」は、推して知るべし、普通に考えれば7005合金を使用している。
もし違っていたら、それはそれで面白い。

6000系合金はMgとSiを添加し、熱処理を行うことによって金属間化合物Mg2Siを析出させることにより所定の強度を得ることができる。

7000系合金はZnとMgを添加し、熱処理によりアルミニウム合金ではもっとも高い強度を得ることができる。
Cuを含まないAl-Zn-Mg系合金は、Al-Zn-Mg-Cu系合金に次ぐ強度を持ち、比較的溶接性に優れている。
溶接部の熱影響を受けた部分も母材に近い強度(約80~90%程度)まで、自然時効により回復するので溶接用構造部材に用いられている。

では、7005合金の組成を見てみることにする。(社団法人日本アルミニウム協会 ホームページ参照)

元素名

元素上限

元素下限

Si

0.35

Fe

0.4

Cu

0.1

Mn

0.7

0.2

Mg

1.8

1

Cr

0.2

0.06

Zn

5

4

Zr

0.2

0.08

Ti

0.06

0.01

その他合計

0.05

(mass%)

正直、この組成を見ても私の浅薄な知識では特徴はわからない。
Znがたくさん入っているね、ぐらいなかんじ。
Cuについて下限が設定されていないことから、Al-Zn-Mg系合金なんだな、と。

また、アルミニウム協会のデータベースでは耐食性についての言及がある。
「一般耐食性・・・優れる。一般の工業、海岸で表面処理なしで使用できる。」
これはいい情報だ。


以上をまとめると、「TNI7005MK-Ⅱ」フレームは海岸で表面処理なしで使用できるぐらいの耐食性を有している。また、溶接部は母材に近い強度を維持している。
ということだ。
しかし、熱履歴が不明なので強度に関して言及するのは危険だ。
耐食性がアルミの中では良いほうだ、ぐらいに留めておくのがいいと思う。


・表面処理について

自転車のパーツにはアルミニウム合金が数多く用いられており、中でも黒色に塗装されたものが多い。ステムやシートポスト、ハンドルなどは最たるものだ。
個人的にはポリッシュ品が好きで、昨今の黒色パーツの多さに食傷気味だ。
ここで黒色パーツが多い理由を考えながら、表面処理について語ってみる。

アルミニウム合金は表面処理を施していない状態であっても実用的な耐食性を有している。これはアルミニウム合金の表面に形成される自然酸化皮膜が保護皮膜として作用するからだ。無理やりに例えをgenerateするとすれば、真っ二つに切ったスイカの切断面をサランラップで被覆してやるようなものか。何も被せないと、すぐに痛む。
この自然酸化皮膜の厚みは通常2-5 nm程度で、アルミニウムと酸化皮膜の界面には緻密なバリアー層があり、腐食性の物質がアルミニウムと反応するのを抑制する。

しかし、この酸化皮膜はpH変化に弱い。高校で化学を学んだ方ならご存知であろうと思うが、アルミニウムは両性金属である。酸化皮膜はアルミの酸化物であり、両性酸化物だ。
アルミニウムは酸にもアルカリにも可溶である。
耐食性が高いといっておきながら、環境変化には弱い。
屋外で使用するようなアルミ製品、特に光沢を有するようなものはクリアー塗装などを施すことにより耐食性を強化している場合が多い。

アルミニウムの耐食性を向上させるには、アルミニウム表面の樹脂被覆だけでなく、酸化皮膜そのものを厚くする手法がある。アルマイトとして広く知られている電気化学処理である。スイカのサランラップを分厚くするような感じ?
もちろん、アルマイト+樹脂被覆というのもある。
詳しい方法には触れないが、アルマイトはアルミニウムを強制的に酸化して表面の酸化皮膜を厚くするという表面処理法だ。強制的に酸化させたアルミニウムの皮膜は、条件にも依るが60000 nm程度まで厚くなる。酸化皮膜の膜厚は数万倍程度になる計算で、この処理によりアルミニウムの耐食性は向上する。
また、この強制的に形成された酸化皮膜は多孔質である。この特徴は着色に利用される。
アルマイト後に染料を孔に染み込ませ、孔を閉じる処理を施す(封孔処理)。
すると腐食性物質が孔を通じてアルミニウム素材にアクセスしにくくなり、色落ちや腐食も予防できる。

表面の研磨を入念に行い、樹脂で被覆するアルミポリッシュパーツと、表面の研磨をほどほどにして電解槽にぶちこんで黒色に染色したアルミ黒色パーツ。
正直、コストについてはわかりまへーん。
ポリッシュパーツは万遍なく樹脂で被覆されているとは言えず、見えない部分は下地のままだったりする。
また、樹脂被覆が十分でないと、樹脂被覆の下から白い粉を吹きながら腐食が始まる。
黒色パーツは電解槽にしずめるので、複雑形状でも全体に処理がなされる。
経験的にも、黒色アルマイトパーツは耐食性が高い。
さらに昨今のカーボン繊維強化プラスチック部材の多さを考えると、黒色パーツは何かと相性がいい。だから黒色パーツが多いんじゃないかと。


・おうちで表面処理
黒色パーツをポリッシュにしたい!
そんなあなたに、パイプユニッシュ
パイプフィニッシュと読んでしまったあなた。
友達です。
アルミ好きならみんな知っている?有名な表面処理法です。

パイプユニッシュ 濃密ジェルには水酸化ナトリウム(1%)が含まれている。
アルカリ性だ。これを試薬として使用し、両性酸化物である酸化アルミニウムを程よく侵す。
するとどうなるか。


20090506231510.jpg
アルミニウム合金のトールキャップ。
丁寧に黒色アルマイトが施されている。
金属光沢がどうしてもほしいところだ。


20090506230746.jpg
パイプユニッシュに浸漬すること数分間、封孔処理によって形成した酸化アルミニウム水和物が崩壊して孔が開放され、孔中の染料が流出したものと思われる。まだアルマイトによって形成した酸化皮膜は健在している模様。


20090506230748

さらに数分間浸漬し、2000番の耐水研磨紙で研磨したもの。
アルマイトによって形成した酸化皮膜は溶解し、下地がむき出しとなった。
耐食性は・・・ 低下した。


アルミパーツを扱う際に注意したいのが、研磨作業だ。
アルミ製品には耐食性向上のために種々の表面処理がなされている。
これを安易にバフ研磨などでひっぺがしてしまうと、耐食性は低下する。
自動車や自動二輪などパーツは過酷な環境で使用されるので特に気をつけたい。
こまめに磨く人は大丈夫。


以上、アルミニウムについて文献を参考にしながら考えてみた。
アルミだけでなく、金属材料では使用環境や合金組成、加工方法、熱履歴など複雑な要素が絡み合い、時間とともに腐食という現象が進行する。
状況に応じ、適切なパーツ選択や保守点検作業を心がけたいものだ。
Comment
この記事へのコメント
No title
飯ごうでご飯を炊くとき、焦げやすい素材は
Al<SUS<Ti
らしい
今使ってるのはチタンなんだよなー だから焦げるのかー

アルミニウムの中でも焦げやすい順位ってあるのかな?
6000系にアルマイトがいいのかなあ?
生の7000系かなあ???
2009/ 05/ 19 (火) 21: 10: 36 | URL | や # JalddpaA[ 編集 ]
スミフロン
AL6000系
スミフロン加工

snow peak
コンポーネントクッカーソロセットを買ってきました。

さっそくご飯炊いてみます。

スミフロン加工ってなんだろ?
2009/ 05/ 23 (土) 16: 22: 15 | URL | や # -[ 編集 ]
No title
熱伝導率は、
Al>SUS>Ti
となるようです。
wikipediaによると、チタンの熱伝導率はアルミの10の1程度です。
熱伝導率の良いアルミは熱が全体に広がることで米が局所的にこげることが起こりにくいのだと考えられます。
一方、チタンは熱伝導率が良くないので、ストーブの炎があっているところ付近だけ温度が上がり、その結果焦げやすくなってしまうのではないでしょうか。

スミフロンはフライパンでいうフッ素樹脂コーティングみたいなもので、食料の付着が起こりにくくする表面処理らしいです。
フッ素樹脂コーティングには賛否両論あります。
フッ素樹脂の毒性を指摘するような研究結果があるそうです。

僕としては、
フライパンなどの調理器具は安全性が高く、熱伝導率が比較的高い鉄をお勧めしたいです。
直径16cm程度の鉄フライパンが市販されているので、これをキャンプ用品として使用したいと考えています。
また、ツーリングでお湯を沸かすなどの用途には焦げは関係ないのでチタンがいいとおもいます。
2009/ 05/ 24 (日) 00: 40: 06 | URL | N村 # -[ 編集 ]
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まとめ
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